色彩コラム 色歳時記

vol.1 笑顔を増やす「桜色」

新生活をスタートされる方も多い4月、この季節の門出にはやはり桜が似合います。待ち望んだ春の訪れを象徴する「桜色」。あの淡いピンクには、私達の気分を穏やかにさせる力があることをご存知ですか?「暖色」「寒色」という言葉が示すように、私達は色に対して様々なイメージを持っています。ピンクはやさしく柔らかい印象を与え、緊張をほぐしてリラックスさせる心理効果がある色だといわれています。

ピンクにはこんなエピソードがあります。ある夫婦が新居での生活を始めたところ、妻がふさぎこみ不機嫌になっていきました。悩んだ夫が友人のカラーリストに相談したところ、青と黒でまとめられた室内の色を変えるように勧められました。そこで夫はアドバイス通りに壁を淡いピンクに塗装し、室内から黒を取り除きました。そして部屋に飾る絵画や小物を新しい壁色になじむ赤やオレンジのものに変えたところ、ひと月ほどで明るく朗らかな以前の妻に戻ったのだそうです。

「室内の色彩設計は心の健康を左右する」とアメリカの色彩学者ルイス・チェスキンも著書の中で触れています。最近は医療関連施設の建物や看護士の制服にもピンクが用いられるようになりましたが、白一色だった頃よりも親しみやすくなったのではないでしょうか。老人ホームの共用スペースで壁の色にピンクを取り入れたところ、入居者に笑顔が増えて明るくなったという事例も報告されています。

「若返りの色」ともいわれ、美容・健康シーンでも重宝されるピンクですが、濃すぎると不快感を与えたり集中力を妨げることもあるので、仕事部屋や書斎に使う場合には分量や色味に注意するとよいでしょう。次の模様替えでは、リビングなど家族のくつろぎ空間に、ごく淡いピンクやオレンジ系の色をさりげなく取り入れてみてはいかがでしょうか?桜を見る時のように穏やかな気持ちで過ごせるかもしれません。

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