色彩コラム 色歳時記

vol.2 やすらぎの「緑」

風薫る五月、新緑が目にも鮮やかな季節です。初夏の陽気が心地よく、ガーデニングにもいい頃ですね。夏に向けて、窓際にグリーンカーテンを作り始めた方もいらっしゃるのではないでしょうか。植物を育てるのが上手な人のことを「緑の手(指)」を持つといいますが、これは英語やフランス語、イタリア語でも共通なのだとか。英語のgreenは、grass(草)やgrow(育つ)と語源が同じなのだそうです。

一方、日本では「みどり」は色の名前ではなく、「生まれたばかりの新しいもの」をさす言葉でした。乳幼児を意味する「みどりご」などがこれにあたります。新しいものが持つみずみずしさが転じて、「みどり」は新芽や新枝の色を表すようになり、現在の「緑色」をさすようになったといわれています。英語のGreenとは由来は異なりますが、いずれも草木が育つ色・新鮮さを感じさせる色です。

緑色には、心や体の疲れを静める効果があると言われています。自然豊かな場所へ行くとリラックス出来るのは、木々の緑色も一役買っているわけです。色の好みは、地域や男女による差がありますが、日本では北にいくと黒や青などの寒色系、南にいくと赤などの暖色系、都会では緑がよく好まれるという調査結果もあります。日常にストレスを感じている人は、目に触れるところに観葉植物を飾るのもよいでしょう。

6月に入るとすぐに梅雨入りという地域も多いのですが、気候の安定しているこの時期は屋内外でのDIY作業に最適な季節です。気になる壁の塗装など家の補修や、和室の畳替えはいかがでしょうか。真新しい青畳は、目にも清々しく気持ちのよい夏仕度です。日本で伝統的に使われてきた落ち着いた緑色の数々は、侘び・寂び・渋みといった独特の美しさを表してきました。八十八夜の新茶に、田植えが済んだばかりの水田、初夏ならではのグリーンを満喫したいですね。

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