HowTo講座

塗装用品の使い方

塗装用具とその使い方(ハケの種類から後始末まで)

上手なペインティングの決め手は、下地調整です。下地調整は「はがす」、「埋める」、「磨く」の3要素から成り立っています。初めて塗装する面 にせよ、重ね塗りする面にせよ、塗料が素材になじむようコンディションを整えてください。

はがす

塗料を塗り替えるとき、古い塗膜をはがすのは下地調整の第一歩です。塗装がはげて凹凸 ができた表面や、古い塗膜が浮き上がった状態の表面のままでは、せっかく新たに塗装しても美しく仕上がりません。スクレーパー、ワイヤーブラシ、皮スキなどを使って古い塗料をはがします。

埋める

塗料を塗る前にとの粉を塗るのは、木材表面にみられる木目(凹凸)を埋め、上塗りの吸い込みを防ぎ、仕上がりを美しくするためです。又モルタル壁のひび割れ、トタン屋根の釘穴や継ぎ目、瓦屋根の瓦の割れ、陸屋根のコンクリートの割れや穴など、それぞれに適した補修材を使用してひび割れや穴を埋めて平滑にします。

との粉の塗り方と充てん材

との粉はカレーのルウ状に練り、木目(凹凸)を埋めるように塗っていきます。これは目止めと呼ばれる作業です。余分に付いてしまったとの粉は、生乾きのうちに乾いた布でふき取り、完全に乾くのを待ってサンドペーパーをかけてください。杉や檜のように針葉樹の場合もうすく水溶きしたとの粉を塗って乾燥する前にふき取ってしまいましょう。この作業によって塗料の浸透が防げ、美しい仕上がりになります。壁のひび割れや木製ドアの腐食など、塗装面に問題があるなら、充てん材を用いて下地調整を。内部用パテ、内外部用パテなど、補修したい場所に合わせて選びます。

磨く

磨くサンディングのコツは、適当な大きさの木片(当て板には木板やゴム板があり、かまぼこの板が手ごろです)に、サンドペーパーを巻いて行うことです。手の保護にもなり、表面 もフラットに仕上がります。

研磨材料の種類と用途
  名称 種類 用途



研磨布(サンドクロス) No.60~No.80AA* 金属のさび落とし
研磨紙(サンドペーパー) No.80~No.120CC**
No.150~No.180CC
No.240~No.320CC
木材素地の下研磨
木材素地の上研磨
木材塗装の下塗り、中塗塗膜のからとぎ
耐水研磨紙
(耐水サンドペーパー)
No.100~No.150CC
No.240~No.280CC
No.320~No.600CC
 
サンドスクリーン 粒度各種 金網状の研磨シート、からとぎ、水とぎ用
スチールウール(鋼毛) No.0~No.00
No.00~No.000
彫刻・モール部の塗膜とぎ
塗膜のつや消し、肌なおし
とぎ炭 ほう炭、静岡炭 上塗塗膜の超微細とぎに用いる
当て板 発泡スチロール板、ゴム板、木板 サンドペーパーを巻きつけて用いる

(注)1.*AA……アルミニウムオキサイド(酸化アルミナ)研粒の記号
2.**CC……シリコンカーバイト(炭化けい素)研粒の記号

ペインティングを楽しむには、用具選びも重要なポイントです。油性用・水性用。どちらも塗る対象に合わせて豊富な 種類のハケが出ています。用途に合った用具選びがペインティングをいっそう手軽なものにしてくれます。

塗る

すじかいバケと平バケ

ハケは水性バケ、油性バケ、ニスバケ、トタン用ハケなど使われる塗料の種類によって使われている毛が違います。柄が斜めになったすじかいバケ、柄のまっすぐな平バケ、ズンドウバケなど、柄の形状によっても分類されます。すじかいバケはコーナーなど狭い場所を塗るのに、平バケは広い場所を効率よく塗るのに適しています。
すじかいバケは、コーナーや塗りにくいところを塗るのにも便利です。

新しいハケをおろすとき

新しいハケを使う前には、よくしごいて抜け毛を取っておきます。抜けかかった毛をそのままにして塗装を始めると、塗装面 に抜けた毛が付いて、汚くなってしまうからです。

ハケの持ち方

  1. 持つ所は、柄の中心よりやや上(右図参照)。
  2. あまり強く握らないこと。
  3. ハケをラクに動かせるよう、ひじや手首にあまり力を入れないこと。
塗料の含ませ方

  1. 毛たけの1/3~2/3までを塗料の中に入れる。
  2. 穂先に平均に塗料を含ませる。(右図参照)
  3. 塗料の容器の内面に柄が触れるようにする。
  4. 容器の端で軽くしごいてから、被塗物にハケを持っていく。(右図参照)
ハケの使い方

ハケの動かし方には、塗料によって違ってきます。油性塗料のような乾燥に時間のかかる塗料の場合は、イラストのような手順で3段階にわけ、タテヨコ十分に塗っていきます。一方ラッカー系塗料のようにすぐ乾燥してしまう塗料なら、ハケを素早くタテ方向に動かして塗り上げます。

  • (1)まずタテに塗る。ひとハケ塗ったらひとハケ分あけて次のひとハケをタテに塗る。これは塗装面 に塗料を平均的に配る作業。

  • (2)次にハケをヨコに動かす。(1)で配った塗料をまんべんなく塗り広げる作業。

  • (3)最後にもう一度ハケをタテに動かしていきながら、ハケ目を整える。

  • ラッカー系塗料は、乾燥が早いためつねにタテ方向にハケを動かしながら塗り上げてゆく。

ハケが固まらない ようにするために

ハケが乾いて固まらないようにするには、空気に触れさせないことです。水性・油性どちらの塗料もハケの部分を水につけておくとよいでしょう。使う前には水をよくきってください。固まりかけたハケには、ラッカーうすめ液が有効。少しの間つけておくだけで、また使えるようになります。

ローラーバケとコテバケ

広い面を簡単に塗ることが出来る道具として、ローラーバケ、コテバケを忘れてはなりません。表面 に凹凸のある場合はローラーバケを、フラットならコテバケを使います。どちらもつぎ柄が付けられますので、高い天井や屋根の塗装などもラクラク行えます。いずれで塗装する場合も、隅などはすじかいバケやミニコテバケなどであらかじめ塗っておきます。

ローラーバケの使い方

受け皿に用意した塗料にローラーを浸し、ローラーを数回転がして付着した塗料を均一にします。次に、塗装面 に塗料をW字に配り(イラスト参照)ローラー幅の1/3ほどを重ねて塗ります。最初はローラーを強く押しつけないように。塗料が減ってきたら徐々に力を入れるのが美しく塗るコツです。

コテバケの使い方

受け皿に用意した塗料にコテバケを十分に浸したら、余分な塗料を受け皿にしごいてしまいます。塗るときは手前に引くように心がけ、コテバケの下方は少し浮かせぎみにすると美しく塗れます。

塗装機器

外壁ほどの広さになったら、塗装機器を使ってみるのもいいでしょう。タイプは大まかに分けてコンプレッサー型と電動ハンディー型の2種類。

あとしまつ

塗装終了後はただちに塗装用具に付いている塗料を落とし水性なら水で、油性ならペイントうすめ液で下洗いします。その後、中性洗剤で洗えばベストです。ハケ洗い液を用いると中性洗剤で洗う必要はないので、なお便利。 油性塗料を洗う場合には手袋を着用して、手荒れを防ぎましょう。洗い終わったハケは陰干しにし、乾燥剤を入れたビニール袋へ入れて密封します。

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