色彩コラム 色歳時記

vol.3 眠りに誘う「青」

「6月に結婚した花嫁は幸せになれる」というヨーロッパの言い伝え、ジューン・ブライド。欧米では、結婚式に「サムシングフォー」と呼ばれる4つのものを花嫁が身につける習慣があります。何かひとつ「新しいもの」、「古いもの」、「借りたもの」、「青いもの」。それぞれに意味があり、例えば青は聖母マリアのシンボルカラーで花嫁の慎みや清らかさを表すとされています。また「青い鳥」に例えられるように、幸せを象徴する色という意味もあるようです。

ジューン・ブライド定着の背景には、6月のヨーロッパは雨が少なく天候がよい時季であることも関係しているといわれています。一方、日本では6月は雨の季節。本格的な夏に向けて気温が上がり、蒸し暑く夜も寝苦しくなってくる頃です。家の屋根・屋上や壁面には遮熱塗料の塗装や、窓には「よしず」や「すだれ」の設置など、家の中に熱をためにくい工夫を。快適な眠りのために寝室に色を取り入れるなら、涼しげな青がおすすめです。

 同じ室温でも、寒色系の部屋と暖色系の部屋では体感温度が2~3度異なるといいます。寒色の青には副交感神経に働きかけて血圧・脈拍・呼吸数などを低下させ、心を落ち着ける効果があります。寝室は照明にも一工夫を。睡眠前に白く明るい蛍光灯の光を浴びると、睡眠ホルモン「メラトミン」の分泌が抑制され、深い眠りを妨げるといわれています。照明にはあたたかみのある電球色を、寝具やパジャマ等には淡い青を取り入れると、自然な眠りへと誘う寝室になるはずです。

心理学に「青七現象」という言葉があります。好きな色と数字をたずねると、文化や気候を問わず、世界共通で「青」と「7」が人気なのだそうです。地球の表面の7割を覆う海や、広大な空の色でもある青におのずと親しみを感じるのかもしれませんね。雨が続くと青空が恋しくなりますが、紫陽花の美しさを楽しめるのもこの季節だけ。涼やかな家時間をお過ごしください。

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