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vol.6 あたらしい「白」

お正月飾りや鏡餅を見ると、心新たな気持ちになりますね。一年のはじめにふさわしい色といえば、やはり白ではないでしょうか。「純粋」「清潔」「新しい」等のイメージを与える白は、他のどの色にも似ない無彩色。黒と並ぶ特別な色です。冠婚葬祭でも使われ、私たちの生活に欠かせない色のひとつですね。おせち料理には蒲鉾等、紅白のものが入りますが、赤は魔除け、白は清浄の意味があるともいわれています。

古今東西、白い動物はおめでたいものとして扱われ、「神の使い」とされることもありました。日本では飛鳥時代から平安時代にかけて、白いキジや亀、鹿があらわれたことを吉兆として何度か元号が改められました。しめ縄やお正月飾りにつけられる稲妻型の白い紙を「紙垂(しで)」といい、大相撲では横綱が化粧回しの上につけて土俵入りを行います。「紙垂(しで)」の白は清浄の証で、神聖さを表すとされているのだそうです。

また「白衣の天使」と呼ばれる看護師をはじめ、調理師や研究者など衛生環境が重視される職業では、白衣がユニフォームとして着用されることも少なくありません。汚れたら分かりやすいように白を着たのが始まりとされ、専門職への信頼と尊敬を集める象徴にもなっています。ただし近年では白が持つイメージのひとつ、緊張感を与えることを避けるため、白以外のユニフォームを採用する医療機関も増えてきました。(vol.1 笑顔を増やす「桜色」 ご参照)

膨張色でもある白は、部屋を広く明るく見せるのでインテリアでも人気の色です。壁や天井など大きな面でよく使われますが、最も光を反射する色でもあるので、使い方によっては一面の雪景色のようにまぶしく感じることも。ピュアホワイトだと無機質で冷たい印象を受ける場合には、アイボリーやベージュ、オフホワイトなど少し他の色が入った白を選ぶと、柔らかく落ち着いた雰囲気に仕上がります。まっさらな新年のはじまり、清々しい一年になりますように。

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