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vol.5 あたためる「赤」

日ごとに気温が下がり寒さが厳しくなる冬は、夏の間多用されていた寒色に替わって暖色を目にすることが増えますね。暖房や冬物衣類の広告など、あたたかいイメージのものにはオレンジが、またクリスマスシーズンには赤がよく使われています。ポインセチア、ヒイラギの実、ケーキのイチゴ、サンタクロース。赤はクリスマスツリーの緑や白い雪にもよく映え、季節感を感じさせる色でもあります。

ところでサンタクロース赤い服のイメージが定着したのは近年のことで、これはコカ・コーラ社のクリスマス広告(1930年代~)が大きく影響したといわれています。それまでサンタクロースの服は、赤のほかに青・白・紫など時代や地域によって様々な色で描かれていたそうです。赤い服は、キリスト教の赤い祭服をまとった聖ニコライ、また北欧神話オーディンの太陽をあらわす赤いマントがルーツともいわれています。

クリスマス

赤をはじめとする暖色でまとめた部屋は、寒色の場合に比べて体感温度が2~3度高くなることが知られています(vol.3 眠りに誘う「青」ご参照)。ただし赤は実際よりも近くにあるように見える進出色。禁止や停止をあらわす標識に使われるのは、遠くからでもパッと目に飛び込んでくるから。それだけ強い色なので、使いすぎると落ち着かず部屋も狭く感じられます。しかしレッドカーペットのように特別感を演出できる色でもあります。

インテリアに取り入れやすいのは、冬用のラグやソファカバーなどへの部分使い。赤はフローリングや木製品とも色の相性がよく、小面積でも部屋の雰囲気がグッとあたたかなものに変わります。また暖色には食欲を増進させる効果があるので、テーブルクロスなど食卓の装飾に用いると、クリスマスのごちそうをより美味しく演出することができます。冬はイベント続きでついつい食べ過ぎがちですが、早めの大掃除で体を動かすこともどうぞお忘れなく。

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